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トタンを屋根塗装するときに知っておきたいポイント 屋根塗装

トタン屋根は劣化が進むにつれサビが目立ってくるため、「このまま放っておいても大丈夫だろうか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
残念ながら一度でもサビが発生すると、自然とキレイになることはありません。ともすると加速度的に劣化が進行してしまい、最終的には穴が空いて雨漏りが発生してしまうこともあります。
劣化の進行を食い止める手立ての一つが、塗装によるメンテナンスです。塗装をすることで劣化を修復し、見た目の美しさも取り戻すことができます。塗装で補修しきれない場合は、“重ね葺き”や“葺き替え”が有効です。

この記事では、トタンの劣化レベルに応じた屋根塗装方法や他の補修方法をはじめ、業者に依頼した場合にかかる費用、トタン屋根を長く持たせるための補修周期などをご紹介してまいります。ぜひ参考にしてみてください。


1.劣化レベル別の補修方法

劣化には段階があります。初期のものであれば塗装での修復が可能です。かなり進行している場合は、塗装での修復は難しく、“重ね葺き”や“葺き替え”が必要になります。

1-1.塗装で修復できる劣化の範囲

下記のような症状は、劣化のサインです。塗装によるメンテナンスを検討しましょう。

☑︎ところどころにサビが発生している
☑︎変色している
☑︎塗装が剥げている箇所がある
☑︎カビやコケが発生している
☑︎釘が浮いている
☑︎継ぎ目が外れている


1-2.塗り替えNG!重ね葺き・葺き替えレベルの劣化症状

下記のような症状が見られる場合は、重ね葺きや葺き替えをする必要があります。

☑︎穴のあいている箇所がある
☑︎雨漏りが発生している

“重ね葺き”とは、既存の屋根材をそのまま残し、その上に屋根材をかぶせる工法、また“葺き替え”とは、古い屋根材をすべて撤去し、新しい屋根材に替える工法のことです。

※劣化が下地にまで進行してしまっている場合、重ね葺きはできません。葺き替えで下地ごと撤去する必要があります。


2.トタンの屋根塗装方法

<塗装工程>

順番 工程 工事内容
ケレン ワイヤーブラシやサンドペーパーなど専用の用具を用いて、サビや脆弱な塗膜を取り除きます。
高圧洗浄 ケレンで除去したサビや塗膜をはじめ、ホコリやカビ、コケなどを、高圧洗浄器を使ってしっかり洗い流します。
下地処理 浮いてしまったクギを打ち直したり、ひび割れ補修したり、塗装する前に不具合が発生している箇所を修復します。
下塗り サビ止め入りの下塗材(下塗り専用の塗料)を塗布します。
※トタン屋根の場合、下塗材にサビ止め入りの塗料を選びます。
中塗り・上塗り 下塗りの上から、さらに中塗り・上塗り(場合によっては上塗りだけ)を塗り重ねていきます。
完成

3.トタンを自分で屋根塗装する際に気をつけるべき3つのポイント

3-1.足場の設置には国家資格が必要

足場はDIYすることができません。足場を組むには、足場の組立て等作業主任者という国家資格が必要です。素人は足場を組むことはもちろん、板を一枚動かすこともできないのです。塗装するにあたり足場が必要な場合には、足場業者へ依頼をしましょう。

また、足場を設置せずに脚立や梯子を使って高所作業をする際には、使用方法を守り、落下しないよう十分に注意する必要があります。建設のプロが安全対策を万全に整えて作業をしていても、少なからず事故が発生しています(厚生労働省発表の労働災害統計によると平成26年度の建設業における墜落・転落による死傷災害は5,941件発生、内148件が死亡事故)。それほど高所での作業には危険が伴うのです。


3-2.塗り替えの仕上りを左右するケレン

「2.トタン屋根の塗装方法」の①でも工程の一つとしてご紹介したケレン。ケレンとは、サビを落とし、脆弱な旧塗膜を取り除く作業のことです。鉄素材のトタン屋根は、高圧洗浄だけでは、なかなかサビや旧塗膜を落としきることができないため、このケレン作業が重要となってくるのです。またケレンには、あえて表面にキズをつけることで、塗料の密着度を高めるという役割もあります。

ケレンをせずに上から塗装をしてしまうと、早期に塗装が剥がれてしまうこともあります。


3-3.下塗材には、サビ止め効果のある塗料を

トタン屋根を劣化させる最大の要因は、サビです。そこで塗装をする際には、下塗り材(下塗り専用の塗料)にサビ止め効果のあるものを選び、きちんとサビ対策をしておくことが重要です。

また、屋根は紫外線をダイレクトに受け、建物の中で最も劣化しやすい箇所になります。長く持たせるためには、高い耐久性の塗料を選ぶのがオススメです。

屋根用の塗料について詳しくは、「プロ直伝!屋根用塗料の効果と特徴」をご覧ください。

カバー工法をする場合のメリット カバー工法をする場合のデメリット
・廃材が出ないので、葺き替えをおこなうよりも安く済ませる事ができる
・塗装のメンテナンスよりも、耐久性を長く保つ事ができる
・旧屋根材の上に新しい屋根材を重ねる為、葺き替えに比べて屋根が重くなる
・ガルバリウム鋼板を使用する際、雨音が響く場合がある

カバー工法でメンテナンスする場合、足場代を含め、約100万円~150万円ほどかかります。塗装にくらべて値段は高くなりますが、塗った場合よりも長く美観性や防水性を保つ事ができます。また、塗装には適さない、劣化の進行が進んだ屋根にもカバー工法はオススメです。


4.重ね葺き・葺き替えは、トタンからガルバリウム鋼板へ

重ね葺きや葺き替えをする場合、新たに屋根材を選ぶことができます*。金属屋根を検討される場合は、トタンではなく、ガルバリウム鋼板がオススメです。ガルバリウム鋼板は、同じ金属素材でありながら、さびにくく、耐久性に優れているため、トタンほど頻繁にメンテナンスをする必要がありません。一度の工事費用だけを考えるとトタンの方が低価格ですが、長期的な視野でメンテナンス費用まで考えると、ガルバリウム鋼板の方がお得になる場合がほとんどです。

*選べる屋根材には制限のある場合もあります。詳しくは業者に相談してみましょう。


5.業者に依頼した場合にかかる費用相場

5-1.塗装費用の相場

一般的な2階建住宅の場合(塗り面積50~80㎡・足場費用込)で、塗装費用は40万円~が相場です。屋根塗装の費用には、資材代(塗料・養生)、足場代、工事代などが含まれており、選ぶ塗料の種類や工事内容等によっても価格は変動します。また劣化が進行している場合には、補修費用がかさみ、相場よりも高額になるケースもあります。

屋根塗装の費用相場について詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事 「屋根塗装の相場について考えよう」もご覧ください。


5-2.重ね葺き・葺き替えの費用相場

トタン屋根(屋根面積50~80㎡)を重ね葺きする場合60万円~、葺き替える場合80万円~が目安です。屋根の面積や選ぶ屋根材によっても費用が異なります。


6.トタン屋根を長く持たせるためにオススメの補修周期

一般的にトタン屋根の補修は、5~10年周期と言われています。トタン屋根を長く持たせるためには、とにかくサビが進行する前に補修をすることが重要です。そのため、補修周期前でも定期的に、1.劣化レベル別の補修方法でご紹介したような症状が出ていないかチェックするようにしましょう。

※屋根の劣化症状は、専門業者に確認してもらいましょう!

屋根の劣化を確認するなら、屋根にのぼるのが一番です。しかし、素人が屋根にのぼるのは大変危険なので、絶対にやめましょう。万が一の場合、補修どころではなくなってしまいます。どうしても自分でチェックしたいときには、地面やベランダなどから見える範囲で行なってください。近くに屋根を見下ろせる高い建物などがあれば、そこから双眼鏡で確認するのも一つの方法です。

劣化の確認だけなら無料で対応してくれる業者も多数ありますので、まずは相談してみましょう。

まとめ

高度経済成長期に数多く採用されたトタン屋根。近年では金属屋根といえばガルバリウム鋼板となりつつあるため、新たにトタン屋根が採用されるケースは少なくなってきています。そのため、トタン屋根のメンテナンスを検討されている家の多くが、数十年選手でしょう。

トタンは放っておくと、どんどんサビが進行するため、早めの対策が重要です。「10年以上、ほったらかし」「気になる劣化がある」という場合には、この機会に、業者に依頼して、しっかり点検されることをオススメいたします。